シスリーンは生け贄として吸血鬼に差し出された少女だ。
吸血鬼はシスリーンを気に入って血を与え、彼女は吸血鬼の眷属にさせられてしまった。
それから百年。村でシスリーンを知る者がいなくなった頃、吸血鬼が暮らす森の奥の館に村の青年がやって来た。
ザアアア………
激しい雨が容赦なく青年を濡らす。遠乗りに出掛けたはいいが、まさかの土砂降り。仲間ともはぐれ、青年は馬を走らせてなんとか目についた館へと辿り着いた。
住人がいてもいなくても、とにかく雨宿りさせてもらいたい一心だった。
ドアノッカーを叩く。
「すみません、誰かいませんか」
応答はすぐにはなかった。やはり無人なのか、と青年が思い始めた頃、キィィ……と扉が開いた。
「どなた?」
扉の隙間から顔を覗かせた女を見て、青年は喉をごくりと鳴らす。村では見ないような美女だった。銀の髪に紅い瞳。ウサギのような女だ。白い肌も華奢ながら柔らかそうで、思わず触れたくなる。
「あ、あの、雨が降ってしまって……。その、僕は仲間と遠乗りに出掛けていた帰りで、仲間ともはぐれてしまって……」
「まあ……それは大変でしたね」
「はい……あの……よければ、こちらで雨宿りさせてはいただけませんか?」
女は少し戸惑った様子で視線を落とした。
「私ではなんとも……主人に聞いてみなければ」
こんなに美しい女なのだ。結婚していて当たり前なのに、青年は少しがっかりした。
「シスリーン、どうした」
「……あなた……こちらの方が雨宿りをしたいと」
背後から聞こえた声に女が答える。
声の主が女の夫だろう。どんな人物なのか見ようと、顔だけ振り向いた女の頭越しに中を覗く。
館の中は暗かった。男のシルエットは見えるが、顔までは見えない。
「お願いできませんか?」
憐れっぽく懇願すると、男は「こんな雨だからな」と笑った。
「入りなさい。シスリーン、お客様に湯を」
「はい……」
「わー、お客様なんて久しぶりだなー」
ひょこ、と廊下の先から現れた少年は、やけに明るい調子で女の腕に抱きついた。
身長は女の肩くらいまである。年齢は十四かそこらだろうか。
「お母様、ボクおなかすいたー」
え、と青年は驚いて女をまじまじと見た。
とてもあの年齢の子供がいるようには見えない。後妻だろうか。
「お客様にお湯を準備したら、すぐに用意するわ」
「はーい!お父様、カードゲームしよう!」
「はいはい」
こちらへどうぞ、と女に案内され、ついて行こうとした時に雷が光った。
その瞬間浮かび上がった父と息子は、金の髪に青い瞳の、ゾッとするほどに美しく、そして瓜二つだった。
*
晩餐は和やかに終わった。
美男美女の夫婦にその子供。少し気後れしたけれど、ありふれた家族だった。
使用人は街のカーニバルを見るために休暇を取っているらしく、必要最低限の火で生活しているため館は暗いのだそうだ。
夕食は女の手製で、驚くほど美味だった。
少しだけ子供のカードゲームに付き合った後、疲れただろうからもう寝なさい、と男に言われ、青年は素直に案内された客室に入った。
『ぐっすり眠ってください。夜中に目を覚ましても、客室から出てはいけませんよ』
女はそう言うと、客室の戸を閉めた。その言葉がひっかかり、青年はなかなか寝付けなかった。
雨はまだ降っている。雨粒と風が窓を叩く。
ベッドに横になりながら、青年は女のことが頭から離れなかった。
あんなに美しい女、二度と出会えない。
例えば、客室から出て、朝食の仕込みをしている女に運良く出会したら、どうだろう。
今は使用人はいない。女を適当な空き部屋に連れ込んで、強引に抱いてしまえるのではないか?
気弱そうな女だった。夫には逆らえないタイプだろう。「おまえが誘ったんだ。旦那にチクられたくなかったらおとなしくしていろ」なんて脅せば、案外うまくいくのではないか?
「……………」
むくりと起き上がり、青年は客室をそっと抜け出る。
ギシ……ギシ……。古い床が音を立てるが、土砂降りの雨の音が誤魔化してくれるだろう。
食堂へ向かうと、漏れた光が見えた。
やった、と青年は舞い上がる。きっと女だ。あの美しく妖艶な女が、朝食の支度をしているに違いない!
興奮して荒くなる鼻息のまま、青年は食堂へと近付く。
「ーーーー、ーーーーー」
話し声?
食堂の手前で足を止め、青年はそっと隙間から中を覗き込む。
そして、驚愕に目を見開いた。
女がーーーーーいる。たしかにあの美しい女がいる。食堂の椅子の背もたれに、豊かな乳房を強調させるように縛り付けられ、肘置きにふくらはぎを拘束されて開脚させられた女が、たしかにいるではないか。
な、なんだ………?何が………。
女は目隠しをされている。そんな女の前のテーブルに行儀悪く腰掛けているのはーーーー息子だ。片手にフォークを持っている。
「お母様ったら知らない男を甲斐甲斐しく世話なんかして!いけないんだー。お母様はボクとお父様のモノなんだよ?ちゃんとわかってるの?」
「あ……ご、ごめんなさい……そんなつもりは……」
「言い訳はいりませーん」
「ああっ」

男の子は女の乳首にフォークを当て、小刻みに動かして刺激を与えたようだった。
「あっあっあっあっ」
「相変わらずいやらしいおっぱいだね。お父様から聞いたけれど、お母様はボクにおっぱいを吸わせてミルクを与えながら何回もイッてたんだって?ボクを産む時も激しく絶頂してたって聞いたよ?お母様はインランなの?」
「ああっそ、そんなことぉっ!」
「ないって言うつもり?へえ?なら、今からボクがおっぱい吸っても絶対イかないでね?」
「あああ~~~~~!」
女の乳房を掴み上げ、少年は乳首をぱくりとくわえる。そしてチューチューチュパチュパと音が出るくらい激しく吸い付く。
どうなっているんだ……。混乱しながらも、青年はその淫靡な光景に目が離せなかった。
「あーっああん!あん!だ、だめえ!あふううん!」
「こっちは指でクリクリしてあげるね?お父様がよくしてるから、ボクもやってあげる」
「ああああ許してぇ!」
「だーめ♡お母様にはボクとお父様の愛玩人形だってこと、自覚してもらうんだから」
「あひぃぃぃぃん!」
ビクビクビク!
遠目にも、女が達したことがわかった。
イって……しまったのだ。
「あーあ……イっちゃったね?実の息子におっぱい吸われてイっちゃうなんて……お母様は売女なの?」
「いやっちがうわ!これはあのヒトが血を吸ったせいで……!」
「ふーん。お父様のせいにするんだ」
ハッとした女は、目に見えて怯えた表情をした。
「お父様、お母様がご自分が淫乱なのをお父様のせいにしてるよ」
「それは酷いな。お母様にはお仕置きが必要だ」
蝋燭の灯りが届かない闇から、男が姿を現した。
まさかはじめからいたのか?ぜんぜんわからなかった。
恐怖心と好奇心、そして性的興奮で頭がいっぱいで、青年は己の膨らんだ怒張を取り出してしごく。
「いや……あ……ああ……ゆるして……」
「百年経ってもシスリーンは愚かなままだな。あの人間の男を無視できずに扉を開けたのも、本当はここから連れ出してくれる勇者を期待したからだろう?さんざん犯して孕ませて母にしても、まだ俺から逃げるつもりか?まったく、愚かしい」
「ご、ごめんなさい……ごめんなさい……!」
「お父様、愚かなお母様にはやく愛玩人形教育しようよ!今日はボクもお母様のナカに挿れていいでしょ?ボクもうおちんちんビンビンで痛いよ」
「仕方ないな……」
「やったー!じゃあお母様、息子ちんこあげるね!」
「あ……だめえ……!ああああ!」
ぱちゅん、と一気に奥まで突きいれ、少年は腰をカクカク動かした。
「お母様お母様お母様!お母様のナカあったかい!ボクのちんこ気持ちいい?お母様のイイところ当たってる?お母様はボクのものなんだから他の男を見たら駄目だからね!あの人間の男、お母様のこといやらしい眼で見ててすっごく不快だった!絶対お母様のこと犯そうとしてたよ!お母様はもう人間じゃないのにね!馬鹿みたいだ!お母様はお父様のペットで性欲処理人形でボクの肉便器なんだから!毎朝お母様にザーメンゴクゴクしてもらってるボクに勝てるわけないのに!あの人間本当にムカつく!」
「あひぃ!あはっ!あうっ!あっあ~~~!」
「うっ、もう限界!お母様出すよ!お父様に負けないくらい濃いザーメン出すからね!お父様ごめんなさい!お母様のこと孕ませたらごめんなさい!」
「あひぃぃぃぃぃ!」
ドクドク……と少年に中出しされ、女はぐったりしている。しかし、余韻に浸っている息子を押し退けた夫が、女の中に容赦なく侵入した。
「あうううう」
「息子に可愛がってもらえて良かったな?今度は夫も気持ち良くしてくれ」

グプププ……。
生々しい音が聞こえる。
覗き見していた青年は、少年と同時に精を放ったが、まだまだ足りずにまた竿をしごき始める。
「ほら、こうして抜くときGスポットをかすめて……子宮口を思いきり突く!これが好きだろう?百年可愛がったからな……おまえよりおまえのことを知っている。ほら、ほら、ほら」
「オッ!?あぎっ!あぐぅ!」
「子宮口に先端が食い込んだぞ?そのまま揺さぶってやる。おまえがここまで許すのは俺だけだ。息子も、ましてや人間の男なんかに許してみろ……百年犯し続けて本当に性欲処理人形にしてやるからな」
「あっはっあっあひっおふっ」
「言え。おまえは誰のものだ?」
「ああああ!あ、あなたのぉ!私は夫のものですぅぅぅ!」
「まったく……可愛い妻だ」
女の額に唇を落とした男は、ちらりとこちらをーーーーー覗き見している青年を見たような気がした。
*
「それじゃあ、ありがとうございました」
「気をつけてくださいね」
「おにいさんじゃーねー!」
世話になった館の住人に手を振り、青年は馬に跨がって駆け出す。
なんだか昨夜の記憶があやふやだ。ご飯を食べたことは覚えているが、いつ眠ったか覚えていない。
そんなに熟睡したのか、と首を傾げていると、ふと視線を感じて振り返る。
館の二階から、男がこちらを見ている。
その青い瞳と目があった瞬間、青年は頭痛を感じて呻く。
「……あれ?ここで何してたんだっけ?」

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